パットはプロライン・・・そんなことは誰でも知っているが
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2011年12月14日 18:51 更新
パットセオリーの一つ「プロラインに打つべし」なんてことは、きっとほとんどのゴルファーが知っていることだろう。もちろん自分でもいつもそうしたいと思っていた。そんなとき、僕の知人がパター練習器「AI-GATE」を考案し、そのデザインをやってくれないかと頼まれた。最初その説明を聞いたとき、確かにラインについて練習するような目的の練習器は見たことない。でも、正直それって特別な何かが必要なのか?? と疑問に思ってしまった。要するにプロラインに打つ練習だな、ぐらいにしか考えられなかったからだ。
ミドルパットを一発で沈めるために生まれた練習器 そもそも、どうしてプロラインの方がいいのかさえもよくわかっていなかった。本体のデザインと共にパッケージデザインとコピーも頼まれたので、「あなたはプロラインにパットできてますか!?」みたいなコピーを最初作り、考案者に見せた。すると彼は、練習器の目的が違うと言うのだ。「えっ?プロラインに打つ練習をするためのモノじゃないんですか!?」と訊ねると、彼曰く「プロラインに打ったって外したら意味ないじゃないですか、これはミドルパットを一発で沈めるための練習器です」と言い切ったのだ。正直そんな無茶な・・・と驚いたが、自分と彼とのゴルフの実力差は、パットにおける距離の価値観にも表れた。彼はいつも一発で入れることしか考えずにミドルパットを打っているという。それを目の当たりにしたのは、後日、彼と一緒にラウンドしたときだった。何と1ラウンド7バーディも取ってきた。ミドルパットのパーパットも入れるとワンピン以上の距離を6~7回入れてのけたのだ。最後にはもう打つ前からどうせ入るのだろう、というオーラが見えてきた。
アマチュアゴルファーのライン読み、その実態は!? その練習器を持って一緒にラウンドするゴルファーたちに、ちょっとした実験をしてみた。練習グリーンでカップから4~5mの位置にボールを置き、ラインを読んでもらう。そして、ボールから50cm~1m付近のライン上と思われるところに、ゲートを置く。その人の読みが正しければ、ゲートを潜ったボールはカップインすることになる。15人ほどテストしたが、読みが正しく、カップインした人はたった2人。残りの全員はアマラインに読んでいた。プロラインに外した人はゼロ。誤解のないように説明を加えると、タッチが弱くて結果アマラインに垂れるのは、強く打てば入るかもしれない。このテストでは、弱かったパットは同じラインで打ち直してもらい、カップに届くタッチで打てるまで続けた。アマラインとはどんなに強く打っても絶対にカップインしないラインのことである。そう、15人中13人は、絶対に入らないラインに打っているのだ。もちろんテストした人が下手だったわけじゃない。過半数はシングルクラス、中にはクラチャン経験者もいた。 そう言えばショートゲームコーチの巨匠で、データ好きのデーブ・ぺルツ氏も「プロでもプロラインに打っている人は少ない」と言っていた。プロアマ問わず、ほとんどのゴルファーが絶対に入らないラインにパットしていることになる。自分も含め、プロラインに打ちたいと思っていながら、読んだラインは違い、たとえ読みが合っていても実際に打つと違うラインになっているのでは、カップインなどまぐれでもするワケない。
何故プロラインに打つことがそれほど重要なのか!? 「アイゲート」を使い練習グリーンで色々試しているうちに、あることに気が付いた。同じ強さでパットしたボールは、アマラインに外れたときと、読み過ぎてプロラインに外れたときとでは、残る距離が違うということだ。良く考えてみれば当たり前のことなのだが、アマラインに外れたボールはダラダラと転がり続け、カップから遠くなってしまう。一方プロラインに外れたボールは、あまり転がらず、カップを過ぎて直ぐに止まる。アマラインは下り傾斜に打っているのだから当たり前なのだが、その距離はナント3倍以上も違う。もちろん条件によって異なるが、傾斜がきつければきついほど、グリーンが速ければ速いほど、その差は広がる。厳密さを保つためにスティンプメーターで試し、その距離の違いを見せたのがこの写真だ。返しのパットのことを考えたら、どちらがベターかは一目瞭然。
プロでも1メートル先に置かれたゲートが潜らない 初めてこの練習器を手にすると、ほとんどの人は、ボールとカップの中間地点にゲートを置こうとする。自分もそうだったのだが、ラインを読むとき、曲がる頂点に意識がいき、そこへ向かってボールを打ちだしているのだろう。実際、そんな遠くにゲートを置いても、ボールはなかなか潜らない。理想は50cm~1mだ。そんなに近くじゃ簡単過ぎないか・・・と思う人もいるだろうが、実際プロでも最初潜らない人がいるほど。理由は、1m以内のショートパットなら外さなくても、1m先のスパットを4~5mのタッチで打つと、打ち出したい場所に打ち出せていないからである。1m先のスパットに打てない人が、曲がる頂点に打てるわけがなく、当然カップインもできない。理想のラインに乗せるには、何はともあれ目の前のスパットに正しくボールを打ち出せなくてはならないのだ。それができなきゃいつまでたってもミドルパットは入らない。 また、打ったボールがゲートのどちらの脚に当たるかで、その人の癖もわかる。強く打つとひっかけ気味になる人、その逆に開く人。或いは常にカップ側の脚に当ってしまう人など、様々な癖を発見できる。これは副産物だが、思わぬ欠点を発見できたりするところも興味深い。
見えないゲートこそがカップインの入り口 よくパットする前に、アドレスに入ると、「あれ、やっぱり右過ぎないか」とか、「打ち過ぎたらどうしょよう」など余計な心配が頭を過らないだろうか。そんな邪念を払拭するのにもこのゲートは役立つ。ゲートに通すこと自体に集注力が必要なだけに、邪念が入る余地がないのだ。考えることは、目の前のスパットにボールを打ちだすことだけ。 ではゲートが使えないラウンド中はどうだろう。本来ゲートを置くべきところに、仮想ゲートを思い浮かべ、そこにボールを打ち出す。見えないゲートを想像で作り出せたら、パットは見違えるように良くなる。解説に「ゲートはゾーンへの入り口」と書いたが、ゾーンは心の中で自分自身が作り出すもの。それを実際のモノに置き換えられれば、入り口はもっと広くなるのだ。 解説書を書く際、考案者に「この練習器、使い方やメリットがわかりにくいので説明をもっと詳しくした方がよくないか」と、申し出たが、本人は、「使えば色々わかってくはずだから・・・」との答え。今になってようやくわかった。ライン読みの技術、癖の発見、ラインへの打ち出し方、メンタルトレーニング的な要素、etc.と、様々な気付きを与えてくれた。そして、その後パットの考え方が一変した。おそらく正しく使えば、ほとんどの人は同じようにパットの考え方が変わるだろう。 このパター練習器「アイゲート」の良さを多くの人に伝えられないもどかしさで、こんな長文になってしまったが、素晴らしい練習器と出会え、その考案者と一緒に仕事ができたことに感謝します。その彼は現在、腱鞘炎に悩まされ、今週手術を受けるらしい。きっと今度は素晴らしい腱鞘炎予防グッズでも考えてくることだろう。 2011/12 shigemine
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